塗料の特徴について
外壁の耐久年数は塗料で決まります。最近では塗るだけで夏の暑さ冬の寒さを和らげる断熱塗料、遮熱塗料などもあります。それでは塗料についての説明を見ていきましょう。
塗料グレードによる耐久性
塗料の大まかな分類です。
樹脂名 | 特徴 | 塗布後耐久年数 |
---|---|---|
アクリル | 一般的に使われる最も安価な塗料 | 5 ~ 6 年程度 |
ウレタン | 比較的良質な塗料で価格、性能共に中位 | 7 ~ 8 年程度 |
シリコン | 耐久性とコスト・パフォーマンスを考慮して、最もお薦め。 最近では主流の高級塗料 |
10 ~ 12 年程度 |
フッ素 | 最も耐久性に優れる最高級塗料。 高額な為一般住宅塗装には不向き |
15 ~ 18 年程度 |
※表の「耐久年数」は、適切な下地処理を施した上での数字であり環境にも左右されます。上記はあくまで外壁塗料を塗った場合のケースであり、次回塗り替えのおおまかな目安です。
その他の塗料
■フタル酸樹脂塗料
主に木工用で使用。汎用型で、木部、鉄部等にも使われている。
■合成樹脂塗料
汎用型で使い勝手が良くホームセンターでもよく見られる塗料。
■エキポシ樹脂塗料
接着剤の原料にもなる強力な樹脂塗料で錆止めとしても使われる。防錆効果と密着性は良い。
等、様々ありますが塗料には同じ樹脂でも「水溶性」と「溶剤性」があります。 また、「溶剤性」の中には、「1液型」と「2液型」があります。
■1液型
シンナーで薄めて使用するタイプ。
■2液型
主剤と硬化剤を仕様書通りの配合で混ぜた後、シンナーで薄めて使用します。2液型の方が手間はかかりますが、塗膜は強靭です。
更に「1液型」「2液型」のそれぞれ「弱溶剤」と「強溶剤」に分けられます。
「弱溶剤」は比較的に臭いが少なく、塗料用シンナーで薄める事が出来き水溶性に次いで環境にも優しい塗料です。
「強溶剤」は臭いが強く、トルエンやキシレンが多く含まれているため、ラッカーシンナーやエポキシシンナー等の臭いが強いシンナーで薄める必要があります。環境に良いとは言えない塗料のため最近は余り使われていません。
この様に塗装工事では、分類される塗料を場所や環境によって使い分ける必要があります。
最近では水溶性塗料も溶剤性に負けない塗膜を得られる様に技術の変化により変わってきました。 溶剤性塗料は、環境問題にも適応し、気軽に外壁にも塗れる様になりました。
また、機能性塗料も増え、“防カビ”、“防藻”、“抗菌”、“低臭”、“断熱・遮熱”の他に、 マイナス・イオン発生、など様々な特殊機能を持つ塗料が幅広い分野で採用されております。
他にも「意匠性塗材」と言い、専用の道具を用いて自由自在に模様を描き、個性的で芸術的な外壁等を作る事も可能です。
今まさに、「塗料」は従来持っていた役割の他に「新たな意義」を持ちつつあります。 これらの知識を持つ事は、お客様自身の選択肢、すなわち楽しみが増えます。 塗料店、施工店は、お客様に喜んで頂ける技術をどんどん提供していきたいと思っております。
塗料の裏話
シリコンと言っても各社メーカーそれぞれが販売し膨大な数が世の中に出回っています。カタログの情報を鵜呑みにするととんでもないことが起こりえますので、正直どこのメーカーが一番良いかなんてわかりません。
当店は大規模改修などにも携わっており過去にこんな事がありました。
設計屋さんの意向で低汚染塗料の塗料で塗装した所、わずか3ヶ月で雨筋が…。大きな壁なので大変目立ってしまうという結果になりました。
いくら耐久性の良いシリコンといっても3ヶ月で汚れる位なら良い塗料とは思えません。
この改修工事で使用した塗料は低汚染の2液型のシリコン、弾性タイプのもので標準通り3回塗りを施しました。
他にもトタン屋根にシリコン塗料を塗装した個所が1年で剥がれるという事態に。
メーカーが言う耐候年数はサンシャインウェザーメーター試験というもので、被塗膜に人工紫外線の様な物を約何時間と照射し続けどのくらい光沢保持を得られるかを試す促進試験を行った結果です。
しかし、この試験は雨も降らなければ雪も降らず自然の環境にさらされていないため実際に使用した場合は全く異なります。
先ほどの1年で剥がれた仕様は規定通り施工したもので、下塗りである錆止めは密着していました。しかし上塗りが所々剥がれているのです。
点検に伺った時はあまりの状況に施主様に合わせる顔がなく…。もちろん無償で塗り直しました。
なぜこうもメーカー別で差が出るのかというと工場生産時点で決まるからです。
シリコン樹脂は市場では1キロ5,000円程すると言われています。安いシリコン塗料は1缶12,000円程度で安く仕入れればもっと安い販売店もあるでしょう。
市場で販売されるシリコン樹脂塗料はアクリル樹脂をベースとしたところが多く、それに何%シリコンを配合するかで価格が変わってきます。ほんの1gの配合でもアクリルシリコン樹脂塗料の完成となります。
1缶当たり16kg/net平均と考えたとしたら。単純に半分の8キロのシリコンを配合すれば5,000円x8キロで4万円。それにアクリル8キロを含めても約45,000円になります。が…こんな高いシリコンはありません。
高くてもメーカーによる企業努力もあるので、2万後半と言っても安いといったところでしょうか。
同じシリコンなのに価格が倍以上違う場合もあります、もちろん安い塗料を使った方が施工単価も安く仕上がりますしシリコンばかりではなくウレタンにしてもフッソにしてもメーカーで差が生じてくるのです。
相見積もりは大事なことですが、施工単価が安い理由はなにかしらあります。
それと塗料には“OEM”と呼ばれる塗装店の独自の塗料のものがあります。「当社は独自開発のオリジナル商品で他では手に入りません。」とこんな営業きいたことがないでしょうか?
この場合の多くはラベルだけを変え中身は他のメーカーと同じなんてこともあります。塗料自体の値段も高くつけ利益を出している事例も少なくはないと思います。と言っても営業の一環として真面目に取り入れている業者いるので一概には言えませが、どのような観点で見ていったらよいのかわからなくなってしまいます。
まずいえることは実際に施工した実績のある塗料が間違いないということでしょうか。たかがアクリルでもシリコン並みの耐久力を持った塗料もあります。あとは安すぎないシリコン塗料を選ぶことは重要です。
メーカーも安くしたくてもそうもできない理由がコスト面にあると考えられます。そうしたコストの掛かる塗料は本当に良い結果を出してくれるものが多いです。ちなみ当店では塗料の比較試験や実際に使用し実績がある塗料をお勧めしております。お客様も施工する我々も安心できる塗料を提供していきたいと思っております。